学会長挨拶

我が国では、医療技術の進歩と超高齢社会により、高齢者および障がい者を対象としたリハビリテーション医療の重要性は増加の一途にあります。これに対応すべく「医療」と「介護」の垣根を越えて病院・診療所と介護事業所の連携を柱とした地域包括ケアシステムの構築が進められています。これは超高齢社会というすべての国民が対峙する現実を見据えて、生き方などの意識におけるパラダイムシフトが求められているともいえます。すなわち、高齢者は有用な人財として能力を発揮すべく健康で元気に社会参加を継続することが求められてきます。
一見すると、これらは理学療法士の職域拡大に期待が寄せられ、追い風が吹いているようではありますが、理学療法を提供している専門領域でのスペシャリストの側面だけでなく、他職種と連携・協働して理学療法を提供できるジェネラリストとしての側面が求められているのです。言い換えれば、理学療法士としてどのような信念と覚悟を持って職務にあたっているのか世間に試されているといっても過言ではありません。
このような医療・介護制度改革の時代における理学療法士の教育では「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」が約20年ぶりに改定され、卒後教育では2022年度に「日本理学療法士協会生涯学習システム」へと新しい教育制度が開始され、理学療法士は次のステージへ出発します。
そこで、本学会のテーマは「reflection(リフレクション)」としました。リフレクションとは教育の分野において「自分自身の仕事や業務から一度離れてみて、出来事や考え方・行動などを客観的に振り返ること」です。失敗したこと・成功したこともすべて含めて見つめ直し、気づきを得て、新たな行動へ繋げる未来志向の方法論です。その時代の環境により社会に求められる人間像や能力は異なり変化が求められます。しかし、何事も長期にわたり変化しない基本的要素も多分にあります。本学会が企画、公開講座などを通し医学・理学療法の本質について振り返り、次のステージへの礎となることに期待します。

 本学会は2022年6月25日(土)・26日(日)に開催いたします。学会準備当初は対面形式を予定し準備を進めて参りました。しかしながら、新型コロナウイルス感染終息の見通しが立たず、先行き不透明な状況であるため、やむを得ずオンライン開催へ変更をいたしました。本学会ではオンラインのメリットを活かした新しい学会の形を目指し、準備委員一同、一生懸命に準備を進めています。多くのご参加をお待ちしております。

第25回
静岡県理学療法士会学会

学会長 山本 武

常葉大学 保健医療学部

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